思い出の映画紹介

『ラーゲリより愛を込めて』

 映画主人公の山本幡男さん(二宮和也)が死の病床で、家族他に宛てた4通の遺書を、終戦11年目にダモイ(帰国)した捕虜仲間が遺族に届ける迄の実話です。

ロシア語が堪能な為、スパイ容疑で長期シベリア抑留、苛酷なラーゲリ(捕虜収容所)生活に。ソビエト軍の暴力懲罰を受けながら、俳句や野球を取り入れ作業効率も上がる等黙認、自暴自棄になっている仲間に、「必ず生きて日本に帰ろう」と希望を抱かせ、尊敬される大きな存在になります。

中国人捕虜を軍刀で刺し殺す、鬼軍曹(桐谷健太)も人間性を取り戻します。目の前で戦友を見殺しにしたと卑下する一等兵(松坂桃李)は病に苦しむ山本を病院へと要求し、一人ハンスト決行、そして全員参加のクライマックス。

しかし帰国を信じて待つ妻に(北川景子)夫の死は残酷すぎる、一番涙の場面でした。私は封切を待ち12月12日、96歳シベリア抑留者のMさんと共に観ました。

二度とあってはならない戦争、平和憲法を空文化してはならない!と思いました。

旭支部 山口 礼子

2023.4.15 400号より